気中工法が壊滅的に駄目な理由


 気中工法が臨界する重量510gを超えて回収する場合があり、臨界の危険がある。ロボットでは緊急対応できない。たとえ臨界停止の決死隊が組織されても、原子炉に近づけば数分で死に至り、止めることは困難である。そのまま核爆発になる可能性が高い。
 現在、福島第一に眠る放射能は核爆弾29発を実験したビキニ環礁の放射能の約20倍とされている。爆発すれば、この放射能を日本ばかりか全世界に撒き散らす。東日本を中心に数千万人の死亡と、その後は日本全体に被害が及び永く人が住めない状況になると予想される。
 昨年4月まで国際廃炉技術機構(IRID)、原子力損害、賠償機構・廃炉等支援機構(NDF)が燃料デブリの回収工法として水中工法を最有力としていたが、水中工法は格納容器に水を張ることを前提としているが、設計上、格納容器は水を張ることを想定しておらず、耐震上や完全に水を漏らすことなく蓄えることに問題がある。そこで昨年4月からに気中工法を重点的に開発することになった。
 危機は小規模な核爆発に始まると想定される。その爆発で福島第一全体が致死線量になり、人が立ち入れなくなり、原子炉を制御できなくなり、冷却もできなくなり、その後連続的に核爆発が進み、世界に放射能を撒き散らすと予想される。
 気中工法の壊滅的危険性を学会などに発表し気中工法を取りやめるように国やメーカーに今後働きかけていく。


     
駄目な理由1臨界、核爆発の危険
写真は1号機の炉心溶融時の爆発を示している。核爆発となれば、この数万倍となりキノコ雲が発生する。日本全国に放射性ダストが飛散する。
米国臨界安全ハンドブックTID−7016によると、ウラン−235の最小臨界量は金属で22.8kgに対しプルトニウム−239のそれは5.6kgである。また、水のような減速材があると臨界になりやすく、溶液状態では、最小臨界質量はウラン−235の820gに対し、プルトニウム−239は510gである。
特にプルトニウムは比重が自ら中性子を活発に放出しているのでわずかな量で臨界しやすい。その最小臨界量は510g、体積にしてわずか25.5cm3である。

 福島第一の炉心溶融事故を起こした1号機から3号機は約100tの核燃料が溶融し原子炉下に堆積している。そのうちの1%はプルトニウムと推定される。その量1tである。従って510g以上の集まりは散在していると思われる。辛うじて周囲の物質が中性子を吸収しているので臨界に至っていないと推定される。しかし時々原子炉温度が急上昇している。これは範囲は臨界が小規模ながら起きていると推定される。
しかもプルトニウムの中でもプルトニウム240は自発的に核分裂している。kgあたり1秒間で約49万回、核分裂を行う。原子力開発機構の臨界評価によるとフクイチではプルトニウムのうち15%がプルトニウム240が占めていると予想されている。燃料デブリのプルトニウム240が各号機とも150kg程度あると推定される。したがって各号機7500万回、常時核分裂を行っていると推定される。プルトニウムは1個の核分裂あたり3個以上の中性子を発しているので各号機とも2億個以上の中性子を毎秒発生していることになる。この1個でも連鎖反応が進めば、臨界、核爆発となる。  
 炉心溶融したとき重いプルトニウムは集まり既に臨界質量(25cc、510g)に達しているのは大いにあり得る。ただし軽いカドミウムやホウ素が周囲を覆って臨界の火種となる中性子を吸収しているので臨界していないケースはあり得る。現在、この状態が炉心の中で散在している可能性はある。この状況で気中工法ともkg単位で取り出すので、周囲の吸収体だけ外し中味のプルトニウムが臨界、核爆発となる可能性がある。

2017年7月に燃料デブリの表面が撮影され右の写真などが公開された。小さな円筒状の粒が見られる。これは燃料棒からこぼれ落ちた燃料ペレットである。炉心溶融後、燃料デブリが冷え固まった後も炉心から燃料が崩れ落ちている状況を示している。青緑色に光る物質が偏在している。この青緑色に光る物質は時折、炎のように揺らいで見える。これはプルトニウムが放射光を発している可能性が高い。燃料デブリが様々な状況にあることがこの写真から判明した。  
原子力研究開発機構が平成26年から福島第一の臨界評価を行い、規制委員会に報告している。
https://www.nsr.go.jp/data/000175836.pdf
燃料デブリについて様々なケースについて臨界可否を検討している。但し燃料デブリは核燃料のプルトニウム、ウラニウム、コンクリート床材のカルシウムや原子炉の鉄などが均等に分散しているとしている。ほとんどのケース、臨界に至る検討結果であった。現状の福島第一は辛うじて周囲に火種となる中性子を吸収するホウ素があるので臨界していない状況であることがわかった。
写真に示される燃料デブリ表面は混在している状態で均等に分散しているといえない。これにより原研が臨界評価の前提としていた燃料デブリが均等分散でないことが分かった。プルトニウムが偏在している場合はさらに臨界の可能性が高まる
 
駄目な理由2 装置自体が施工上、成立していない
(1)ドリルまたはチッピングで燃料デブリを掘削する装置が写真に示されている。ドリルやチッピングの刃先は回収中に目減りし頻繁に交換する必要がある。この周囲は致死線量をはるかに超えているのでドリルを全自動で故障なく取り換えるドリル交換装置が必要。
(2)回収装置が別に必要である。ドリルで掘削した後に回収するのであれば、掘削して集めた燃料デブリが臨界質量510gを超える可能性がある。
(3)写真ではロボットのアームは数mであるが実際は20m以上必要である。装置を設置する現地のスペースを確保し、致死線量の中で設置する必要がある。
いずれの課題も現在の技術で対応できおらず、解決の見通しも厳しい。
駄目な理由3原子炉転倒の危機
福島事故対策  炉心熔融時に原子炉を支えるペデスタルの基礎に燃料デブリが落下し、基礎の鉄筋やコンクリ−トを溶かしている。ペデスタルは設計当初の耐震能力を有していない。その状況でこの基礎を掘る気中工法は自らの足を切除するようなものであり、さらに基礎を不安定にし工事中も倒壊の危機がある.
横から掘る工法であればいよいよ転倒しやすい。


駄目な理由4放射性のダスト飛散
 
燃料デブリは各号機とも80kw発熱している。格納容器や原子炉に水張りすると左の図のように燃料デブリで温められた空気は軽くなり下から上に熱移動し、上で冷たい空気に冷却され重くなり上から下に移動し対流を起こす。格納容器の亀裂を完全に封鎖することは困難である。この空気に含まれた放射性ダストは格納容器の亀裂を通過し格納容器外に放出される。
駄目な理由5 環境への汚染拡大 東京避難
福島事故対策 格納容器は放射性の気体の漏えいを防止するものである。格納容器は事故時に損傷し多くのキレツが発生している。手やロボットが入れないところもあり、このキレツをすべて塞ぐことは困難である。 写真に見える配管は全て二重配管になっており、そのなかは腐食のためにキレツが発生していると推定される完全に気密にすることは難しい。この為にこの穴をコンクリートで塞ぐとしているが、これも完全でない。さらに格納容器内部を負圧で引き、外部に漏らさないとしている。

 キレツを全部塞いだとしても、設計上の漏えい率は1日に0.5%としている。50日経過すると25%漏れることになる。気中工法は年単位で回収する。放射性の気体が大半が漏れる。気中工法では燃料デブリを回収する際に多くの放射性ダストを放出する。

 格納容器からこのダストを漏らさないために格納容器内は大気圧以下に負圧にし、格納容器内の空気をヘパフィルターを通して浄化して外気に排出することが検討されている。ところがこのフィルターは0.1μm以上の大きさのダストしか回収できない。炉心溶融事故時に大気中に飛んだダストの計測結果から0.1μmを下回るダストが5%程度あった。元が同じ燃料デブリを回収する時切削破片にも0.1μmを下回るダストが5%程度あると考えられる。5%と言えどもその放射線量は膨大であり環境に重大な影響を与えると想定される。
福島、茨城、宮城、東京も避難地域になる恐れがある。
駄目な理由6 汚染水濃度高まる
汚染水は回収中も漏えいしている。汚染水の漏えい対策は示されていない。回収が始まると汚染濃度は高まる
駄目な理由7 机上の空論
現場の意見が取り入れられていない。どんな災害でも現場関係者が駆けつけ対策を練るが、今回は現場関係者が実施は遠いとして、研究にも参画してない。装置の開発者ばかりが集まっており全体工事が見据えられていない。
 保管方法は棚上げされだけでなく、ほかについても次々と課題が浮き彫りされる。
駄目な理由8作業被ばくの大幅増加
この工法では大量の作業被ばくが予想され、多くの作業者が必要とするが、作業者に不安が募り、熟練経験者ほど離れる。
駄目な理由9膨大な工程 100年工程
臨界を避けようとすると、この工法では1日に数kgしか回収できない。1t回収するのに1年を要する。燃料デブリは100tあるのだから100年を要してしまう。その間に巨大地震が来襲すれば、原子炉ごと倒壊してしまう。経済的にも不成立となることは明らかである。
駄目な理由10盲目状態で掘る
燃料デブリの周囲は数千Sv/hの放射線量である。カメラは10Sv/hの放射線で1時間で破壊される。このカメラは燃料デブリに近づけるだけで、瞬時に破壊される。盲目状態で燃料デブリを回収するのか。回収アームが燃料デブリ周りの残材を押しのけ原子炉をなぎ倒してしまう可能性もある。、
いままで昨日今日
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